【宮城文学散歩】上皇后陛下=東松島市・女川町=

[上皇后陛下の御歌について]

上皇后陛下が平成23年3月11日東日本大震災で未曾有の津 波に襲われた被災地、東松島市野蒜に思いを馳せられて詠まれた御歌をご紹介します。

平成29年に詠まれた御歌で、東松島市の地名である野蒜をお使いになられた御歌がございます。
東日本大震災発生以来上皇陛下と共に被災地の状況に日々お心を寄せられた上皇后陛下が発生後まもなく、数ある被災地の中に春、御所のお庭でよく摘んでいらした“野蒜”と同じ、この地を見い出され、その頃から御心に留めていらしたお気持ちを、このような歌の形でその頃からお書き留になっていたものがこの御歌です。

  野蒜とふ愛しき地名あるを知る
        被災地なるを深く覚えむ

上皇后陛下の被災地へ寄せられた優しい御心を後世に永く伝えることを願い歌碑が、被災地の東松島市野蒜駅前復興公園に設立されています。
2019年4月20日、いきいき学院石巻校詩吟クラブの仲間と一緒に上記の御歌を、石森先生ご指導のもと朗朗と吟じました。



多くの尊い命を奪い未曾有の被害をもたらした東日本大震災から4年が過ぎた平成27年3月21日石巻線が全線開通し同日午前女川駅から始発列車が出発しました。
この知らせをお聞きになってご安堵とお喜びの中で上皇后陛下がお詠みになられ、その翌年の新年に発表されたのがこの歌碑(写真右)の御歌です。

  春風も沿いて走らむこの朝
      女川駅を始発車いでぬ

平成28年3月17日には上皇、上皇后両陛下が女川町へ行幸になり 、生まれ変わる新しい街並みのご様子をご覧になりました 。心に深い傷を負った人々が復興に向かって歩み始めた時、上皇、上皇后両陛下の被災地ヘ寄せられたお優しい御心に慰めと大きな力をいただきました。
                                石巻第二教場 福田 岳壽

2022年09月06日